研究開発グループ プリンシパルリサーチャ、マネージャー
HMI
吉澤 顕
Akira Yoshizawa
PROFILE
2002年入社
大手電機メーカー 鉄道運行管理システムの開発
元青年海外協力隊、元BMX日本代表。異色の顔を持つスーパーリサーチャ
研究開発グループでプリンシパルリサーチャ、マネージャーを勤める吉澤顕さんは、認知科学やユーザーインターフェース(UI)の分野を研究、開発する研究者である一方、BMXの元日本代表や元青年海外協力隊という多彩な顔も持っています。さらにプライベートでは3人のお子さんを持つ父親で、PTA活動にも積極的に参加中。そんな吉澤さんに、デンソーアイティーラボラトリ(以下、ITラボ)の魅力や働き方について伺いました。
大手企業の研究職→青年海外協力隊→BMX日本代表→研究者
― 何でも吉澤さんは自転車が好きで、BMXの日本代表に選ばれたこともあると伺いました。
「最近は子育てに追われて、独身時代のようには自転車に乗れていませんが、中学生の頃からBMXのレースに出ています。2005年にはフランスで行われた世界選手権に日本代表として出場しました」
― しかもデンソー本社が世界選手権のスポンサーになってくれたそうですね。
「日本代表になったのが入社後で、会社も休まないといけない上、遠征の費用もそれなりにかかるのでどうしたものかと思っていたら、デンソー本社が『行ってこい。その代わり宣伝してこい』と言ってくれまして(笑)。そのおかげで一部費用を負担してもらい、無事参加できました。大会中は帽子やウエアなど、色々な所に会社のロゴを付けていたのですが、それが『イリジウムパワー』というクルマやバイクのエンジンに使うプラグの物もあったので、他国の選手からは『自転車なのにエンジンを載せているのは反則ではないか!』とツッコミを受けました(笑)」
― それは(笑)。そんな自転車好きの吉澤さんですが、現在どのような研究をされているのでしょうか?
「クルマのHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)という分野を研究しています。簡単にいうと運転をしている人をはじめとしたクルマに乗る人皆が、使いやすいクルマにするにはどのような機器にしたらよいのかという研究です。クルマはただ運転できればよいわけではありません。周囲の安全を確認したり自分の現在地をカーナビで確認したり、同時にたくさんのことを判断する必要があり、とても複雑なインターフェースだといえます。それを便利さや快適さはそのままに、安全性とどう両立させていくのかというのが僕の研究領域です」
― 昔からそうした分野に興味があったんですか?
「自動車や移動に関わることには、昔から興味がありました。大学院時代にクルマにカメラを積んで、前を走るクルマを認識させたり、交差点を上から写した画像を元に交通量を認識させたりといった研究をしていました。ただ、直接のきっかけになったのは……交通事故に遭ったことでした」
― 交通事故に! 無事で何よりでした。
「前職でも研究開発職として働いていたんですが、日本以外の国のことをもっと知りたいという気持ちがふと湧いてきて、会社を辞めて青年海外協力隊をする決心をしたんです。派遣先の国も決まり、そこでの業務に向けた訓練をしていた期間中、タクシーに轢かれまして」
― !!!
「横断歩道を青信号で渡っていた僕に気付かず、ノーブレーキで交差点に侵入してきたタクシーと衝突したんです。救急車で運ばれ、普通だったら大ケガで入院してもおかしくないはずですが、幸いほとんどケガがなく、お尻にちょっと湿布を貼られただけで『歩いて帰って大丈夫です』と言われ、そのまま歩いて帰りました。その頃ちょうど自転車のトレーニングをガンガンやっていて、体が頑丈だったのが影響していたかもしれませんね(笑)」
― 衝撃のお話ですね。そこからどのように今の研究に結び付くのでしょうか?
「その事故があって、学生時代、自動車の安全に関わる研究していたことを思い出したんです。前職ではクルマとほとんど無関係な、電車の運行管理システムなどの研究開発などをしていました。でも事故に遭ったことで、クルマの安全性が僕の学生時代からあまり進化していないことに気付き、『もっとできることがあるんじゃないだろうか?』と思ったんです。それで青年海外協力隊から帰国後、仕事を探した時にITラボの募集を見つけ、応募しました。そのまま採用が決まり、今に至っています」
― しかし、研究者と青年海外協力隊とBMXの日本代表なんて、実に多彩なご経験ですね。
「基本的に僕のやることには一貫性がないんですが、自分の専門外の分野や趣味でやっていることが研究のヒントになることは多いです。色んな体験をしたいという理由で、寄り道の多い人生を送っています」
裁量労働制を利用してPTA活動にも参加
― 吉澤さんは3人のお子さんの父親でもあるそうですね。
「10歳(小5)女児、6歳(小1)男児、5歳(年中)女児の3人です。毎日が賑やかですね。3人もいると日々何かしらのアクシデントがあって、突然会社を休む必要が生じることもありますが、我が社は裁量労働制で自由にスケジュールを組むことができる勤務スタイルのため、フレキシブルに対応できて助かっています」
― 普通、会社だと突然休みを取るのは難しいことが多いと思いますが。
「クライアントとのミーティングといった、ずらせない予定がある時以外は基本的にいくらでも調整が可能です。そうした勤務の柔軟さに助けられているところは大きいですね。それもあって子どもたちの通っている学校のPTA活動にも参加しているんです。図書ボランティアという、子どもたちに本の読み聞かせをする活動をしています」
― PTA活動にも。それはすごいですね。
「子どもがいる人にとっては、学校や幼稚園の行事に参加しやすい労働環境だと思います。出社してからも常に社内にいなければいけないわけではないので、外出して散歩がてら本屋に寄ることもありますし、夜も僕はなるべく家族で一緒に食事をしたいので夜7時~8時くらいには帰宅しています。日によっては家に仕事を持ち帰ることもありますが、それも自分の裁量一つです。仕事と家庭の両立はしやすいですね」
― お子さんたちの夏休みや冬休みなど、長期休暇に合わせた休みも取りやすいですか?
「そうですね。以前は夏に1カ月間まとめて休暇を取り、家族で妻の実家へ帰省した帰り道、僕だけ一人、佐賀県から東京まで自転車で帰ってきたこともあります。さすがに今はマネージャーになったので、そこまで勝手なことはできませんが(笑)」
求む、自律した研究者
― マネージャーという立場になると、管理職ですので他のメンバーの研究の相談に乗ったり、予算の承認をしたりもすると思いますが、そのせいで自分の研究時間が減って困ったということはありますか?
「時間が減るのは事実ですが、その分、刺激を受けたり、知識の共有があるので、結果的には自分の研究の幅が広がっている気がします。決して悪いことではないと僕は思っていますよ」
― 研究内容についてはチームで決めているんですか? それとも個人で?
「僕が属しているのはHMIチームですが、チーム内やチームも超えて誰とでも自由に連携してかまいません。チーム内の方向性については皆で決めることもありますが、基本的には研究者が個人で研究内容を考え、進めます。自分の考えや意見を持ち、主体的に決めて行ける人に適した場所だと思います」
― 自分のやりたい研究がある人にとっては理想的な環境ですね。
「そうですね。僕はよく『ジリツ』した研究者という表現を使います。『ジリツ』という言葉には『自分で立つ』と『自分を律する』という2つの漢字がありますが、どちらかというと後者の『律する』方が、我が社で働く上では重要だと思います」
― ちなみに研究の内容は最終的にクルマに繋がれば、何でも大丈夫なのでしょうか?
「構いません。ただ誰にどんな嬉しさを提供できるのか、という視点は常に忘れないでほしいですね。これからはクルマだけに囚われない研究テーマもあるのではと思います。」
― 貴重なお話、ありがとうございました。
研究者インタビュー
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